声の小さなキャプテン

小学5年生の冬。

突然、ダン君がミニバスのキャプテンになりました。

それまでキャプテンをしていたのは、誰もが認めるチームのエース。プレーでもチームを引っ張る、いわゆる「キラキラしたキャプテン」でした。

ところが、その子がチームを辞めることになり、急遽、新しいキャプテンが必要になりました。

そこで選ばれたのが、ダン君。

……声小さいのに大丈夫かなあ?

おそらく、練習をほとんど休まず、真面目に取り組んでいたからだと思います。

大きな声でみんなを引っ張るタイプでもなければ、

エースのようなキラキラ感があるわけでもありませんでした。

試合前の円陣。

キャプテンになると、円陣の真ん中に立って声を出します。

「行ーけ!行ーけー!」

……。

みんなの手拍子に声がかき消され、応援席の母には、ほぼ聞こえない😂

しかし、

今では、円陣の真ん中から聞こえるダン君の声が、体育館に響きます。

コートの中でも、人一倍声を出すようになりました。

あの頃は仲間たちに「支えなきゃ」と思ってもらっていたキャプテンが、いつの間にか、仲間から頼られるキャプテンになっていました。

声は、大きくなった。

バスケも、上手くなった。

みんなをまとめることもできるようになった。

小学5年生の冬、仲間に支えてもらいながら始まった、ダン君のキャプテン。

今ではずいぶん頼もしくなったな、と思います。

でも、一つだけ。

キャプテンになる前から変わらないところがあります。

仲間を大切にするところ。

もしかしたら、それがダン君らしいキャプテンの形なのかもしれません。

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